7日目


ただでさえキルアは熱で体力が奪われていたというのに、イッたことで更に体力が奪われたようだ。


やり過ぎたかな、と思い苦笑する。


『大丈夫?キルア』


キルアに声をかけると、ん…、と短い返事が返ってきた。


どうやら意識は飛ばしていないらしい。


私はキルアがのぼせてはいけないからと、キルアに肩をかしながら立たせる。


体や髪をタオルでわしゃわしゃと拭いてやり、服を着せる手伝いをする。


ぼーっとしたままのキルアが服を着たのを確認して、私はキルアを椅子に座らせ、髪を乾かした。


『ん、乾いたよ。ベッドまで歩ける?』


コクリと頷いたキルアに再び肩を貸しながらベッドへと向かう。


ベッドに着くと、キルアに毛布をかけて頭を撫でてやると、キルアは気持ちよさそうに目を細めた。


「名前、ずっと一緒だよな?」


『うん。だから安心して寝ていいよ』


不意にキルアが私の手を掴み、自身の頬に触れさせるようにしながら尋ねてくる。


肯定すればキルアは安心したように笑った。


「名前も一緒に寝ようぜ?俺一人じゃなんか落ちつかねぇし」


ダメ?と首を傾げながら尋ねてくるキルアに負けた私は、もぞもぞとキルアの隣に並んで寝転んだ。


私が隣に寝転ぶと、キルアは私の腰に腕を回し、胸元に顔を埋めて擦り寄ってくる。


そんなキルアの頭を撫でていると、すぐにキルアの寝息が聞こえてきた。


『…おやすみ。大好きだよ、キルア』


キルアの額にキスをし、私はキルアの後を追うようにして、夢の世界へと旅立った。


††††††††††


不意に目が覚めてしまった。


目の前に名前の顔があることに少し動揺したけど、俺は少し開いている距離のまま、名前の寝顔を観察する。


長い睫毛が影をつくっていて、寝顔はいつもよりも幼く見える。


そっと名前の頬に触ると、吸い付くようにしっとりした肌は俺の頬よりも柔らかい。


『…んっ……』


小さく漏れた名前の声に起きたのか、と少し慌てるが、どうやらまだ寝ているようだ。


声の漏れた場所を俺は何となく見る。


うっすらと開いた桜色の唇に、昨日の風呂でのことを思い出した。


何か顔が熱いから、きっと俺の今の顔は真っ赤なんだろうな。


『…キ、ルア』


顔に片腕をのせて火照りを覚ましていると不意に名前から聞こえた自身の名前。


名前に視線を戻すと、ただの寝言のようだ。


俺の名前を呟き、幸せそうに眠る名前がすっげぇ愛おしい。


誰かのことをそんな風に思えるなんて、以前の俺なら考えもしなかっただろう。


「名前、好きだぜ…」


寝ているのをいいことに、俺は名前の唇に軽く触れるだけのキスをした。


††††††††††


「名前、名前…」


キルアの声にパチリと目を覚ます。


……何か、顔近い…けど、可愛いからいっか。


おでこをピッタリと合わせると、もう平熱に戻っているようだった。


『熱は下がったね。あ、そろそろ夜ご飯の時間だ。食べられそう?』


ベッドから起き上がりながらそう尋ねると、キルアは首を縦に振る。


立ち上がると、少し立ちくらみがした。


今日はなんだかんだ、キルアと一緒に寝てたからかな…?


完璧寝すぎだ。


少しふらふらしながらも何とかご飯を作り二人で食べる。


「なあ、名前。何かふらふらしてねぇ?」


食事もお風呂も済ませていつものようにキルアと一緒にテレビを見ていた時、不意にキルアにそう言われた。


確かに何だか体が怠い気がする。


『そうかな?…とりあえず今日は早めに寝ようかな。キルアはどうする?』


キルアに心配をかけるわけにはいかないため、笑顔で返す。


キルアが疑ったような視線を向けてくるけれど、私はあえて触れなかった。


勘が鋭すぎるのも困ったものだな。


「名前が寝るなら俺も寝る」


ベッドに潜り込むと、後からキルアも潜り込んでくる。


ぎゅっとキルアを抱きしめて、一日の疲れを癒す。


おやすみ、とお互い挨拶をして目を閉じた。


どうか明日、元気に復活していますように。



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